なぜ京都の肉まんに鍾馗様?
西京極の直売所が
厄除けの神を名に冠する理由
📍 京都点心福 焼売直売所
(シュウマイファクトリー)
看板商品「鍾馗のにくまん」は
直売所店頭限定・ご注文ごとに蒸したて
でご用意しています。
- 【住所】
- 〒615-0827
京都府京都市右京区西京極南方町73
(阪急西京極駅 徒歩圏内) - 【営業日時】
- 木曜日・金曜日・土曜日
朝 6:00 ~ 15:00
※売り切れ次第終了となります - 【受取・お支払い】
- 店頭テイクアウト(事前電話予約可)
現金のみ(キャッシュオン形式)
深く落ち着いた檜(ひのき)の香りと、小麦の甘い香りがふわりと漂ってきます。
直売所ののれんをくぐると、蒸し台の湯気の向こう側から力強い眼光で工房を見守る、ひとつの焼き物が目に飛び込んできます。
それが、当直売所の象徴である「瓦焼(かわらやき)の鍾馗(しょうき)様」です。
「なぜ中華の点心である肉まんに、京都の守り神である鍾馗さんの名を付けたのか?」
そこには、京都の町家が育んだ厄除けの知恵と、伏見城の築城以来、京都と淡路島を一本の水路で結んできた深い歴史の物語が息づいています。
1. 京都の町家の屋根で見守る「鍾馗(しょうき)さん」の風習
京都の古い町並みを歩きながらふと見上げると、一階の屋根(庇)の上に、刀を抜き構えた小さな武人の瓦細工を見つけることができます。
地元で古くから親しまれている厄除け・魔除けの神様「鍾馗(しょうき)さん」です。
中国・唐の時代、玄宗皇帝の夢に現れて悪鬼を退治し、重い病を癒やしたという伝説を持つ武神・鍾馗。
この信仰が京都に伝わると、町家が密集する京都ならではの「向かいの鬼瓦問題」を解決する知恵として定着しました。
お向かいの家が立派な鬼瓦を上げると、そこから跳ね返ってくる邪気が我が家に入り込んでしまうと恐れられました。
そこで、角を突き合わせて揉めるのではなく、「自家の屋根にそっと鍾馗さんを据え、鬼を威嚇して受け止める」ことで、町中の平穏を守ったのです。
向かいの家を思いやり、静かに厄を祓う――。
鍾馗さんは、京都の暮らしの美徳と安心の象徴でした。
2. 瓦と石が語る、京都・伏見と淡路島の深い水運ネットワーク
屋根の上の鍾馗瓦は京都近郊だけでなく、日本三大瓦の産地である「淡路島」をはじめとする瀬戸内沿岸にも色濃く残っています。
実は、京都(特に伏見)と淡路島には、戦国時代から続く極めて強い絆がありました。
伏見城の石垣と、川岸に残る「残念石」
豊臣秀吉が築いた巨城「伏見城」。
その巨大な石垣に使われた良質な御影石(花崗岩)の多くは、実は淡路島から切り出されたものでした。
数十トンにもおよぶ巨石を陸路で運ぶのは不可能です。
淡路島の海岸で切り出された石材は船に乗せられ、大阪湾を渡り、淀川を遡って、三川合流を経て伏見港(宇治川・巨椋池)へと直行しました。
秀吉が整備した一大河川港湾都市・伏見があったからこそ、海から城の足元まで船一本で巨石を運ぶことができたのです。
鴨川や宇治川の河川敷には、今も各大名家の刻印が彫られた「残念石」が眠っています。
輸送途中に船から水底へ落ちたり、使われないまま遺棄されたこれらの巨石は、淡路島と京都・伏見が水運一本で結ばれていた動かぬ証拠です。
石から瓦へ、そして豊かな食材へ
この水運の大動脈を通じて、淡路島の良質な土で焼かれた「淡路瓦」が京都の屋根を彩り、やがて古代からの「御食国(みけつくに)」の恵みとして、豊かな農水産物が伏見へと運ばれるようになりました。
京都点心福が点心の餡に使う「淡路島玉ねぎ」の濃厚な甘みも、まさにこの数百年続く京都と淡路島の水運ネットワークの歴史の上に成り立っています。
3. 「福」を届ける点心師が、鍾馗様に込めた祈り
私たち「京都点心福」は、屋号に「福」の字を掲げています。
点心(てんしん)の語源は、もともと禅語の「空心(すきばら)に小食を点じる」ことから来ています。
ほんのわずかな一粒であっても、食べた人の心を温め、日々の活力に変えていただくための料理です。
工房に立ちのぼる真っ白な蒸気は、まるで邪気を清める神聖な煙のようにも見えます。
京都の町を見守り続けてきた鍾馗様への敬意を込め、直売所で蒸し上げる力強い肉まんに「鍾馗(しょうき)のにくまん」と名付けました。
4. 鬼瓦の迫力に負けない「極粗挽き肉」と「天然酵母皮」
鍾馗様の名を背負う以上、ふんわり甘いだけのありふれた肉まんを作るわけにはいきません。
職人が目指したのは、ひと口で力がみなぎるような、力強い本物の味わいでした。
- 天然酵母仕込みの力強い弾力皮
機械で急激に膨らませた生地ではなく、天然酵母でじっくり発酵させたもっちり厚みのある皮。しっかりとした噛みごたえと、小麦本来の素朴な甘みが広がります。 - 肉を練り込まない「極粗挽き国産豚肉」
挽肉をペースト状に練り込まず、ゴロゴロとした肉の粒感をそのまま残した餡。噛み締めるごとに、閉じ込められた熱々の肉汁がジュワッと溢れ出します。 - 淡路島玉ねぎと九条ねぎの甘美な調和
歴史ある水運がもたらす淡路島玉ねぎの濃厚な甘みと、京都伝統の九条ねぎの上品な香味。豚肉の豊かなコクを引き立て、最後の一口まで飽きさせません。
蒸篭(せいろ)から上がったばかりの肉まんの頭には、出来立ての証として誇らしげに「福」の焼き印がジュッと刻まれます。
5. 西京極の工房で味わう、蒸したての贅沢
西京極の直売所へお越しの際は、蒸し上がりを待つ15分の間、ぜひ工房の玄関先で静かに見守る瓦焼の鍾馗様を探してみてください。
鉄瓶から立ちのぼる湯気、お出しする温かい特製茶、そして30年使い込まれた檜せいろの蒸気音――。
京都の歴史が育んだ厄除けの祈りと、職人が魂を込めて包んだ蒸したて熱々の肉まんが、あなたの心とお腹をいっぱいに満たします。
京都点心福 しゅうまい奉行(職人一同)
\ 待たずに熱々を受け取りたい方へ /
事前のお電話予約が便利です
「○時○分に取りに行きます」「肉まんと焼売を蒸しておいて」とお電話一本いただければ、ご来店時間に合わせて蒸したてをご用意いたします。