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    返還前の香港で出会った30年物の檜せいろ。加熱前の発酵から膨らみが変わる「木に宿る酵母」の真実|京都点心福
    直売所こだわり連載・第3弾
    1997年香港から約30年。微生物が息づき飴色に育った特注の檜せいろ
    ▲ 1997年香港から約30年。微生物が息づき飴色に育った特注の檜せいろ

    返還前の香港で出会った
    30年物の檜せいろ。
    加熱前の発酵から膨らみが変わる
    「木に宿る酵母」の真実

    📍 京都点心福 焼売直売所
    (シュウマイファクトリー)

    直売所限定 蒸したて鍾馗のにくまん
    ▲ 直売所限定・30年檜せいろで蒸し上げる「鍾馗のにくまん」

    この30年檜せいろで蒸し上げる熱々肉まん&焼売は
    直売所店頭限定・ご注文ごとに蒸したて
    でご用意しています。

    【住所】
    〒615-0827
    京都府京都市右京区西京極南方町73
    (阪急西京極駅 徒歩圏内)
    【営業日時】
    木曜日・金曜日・土曜日
    朝 6:00 ~ 15:00
    ※売り切れ次第終了となります
    【受取・お支払い】
    店頭テイクアウト(事前電話予約可)
    現金のみ(キャッシュオン形式)
    ※お電話いただければ、ご来店時間に合わせてせいろに火を入れて熱々をご用意します。
    京都・西京極の朝6時。

    直売所の蒸し台から轟音とともに立ちのぼる、真っ白な蒸気。

    店主(しゅうまい奉行)が調理師学校時代――1997年の返還前、熱気あふれる香港へ渡った際に買い求めた特注の「檜(ひのき)せいろ」は、30年ものあいだ高温の蒸気を浴び続け、飴色の風格を漂わせています。
    飴色に育った特注檜せいろの蓋
    ▲ 30年の歳月を経て飴色に輝く檜せいろの蓋。狂いなく蒸気を閉じ込める

    実はこのせいろ、ただ蒸すだけの道具ではありません。

    「火を入れる前の発酵の段階で、このせいろに並べると生地の膨らみ具合が明らかに違う」――。

    酒蔵の木桶のように、せいろ自体に微生物が宿る「道具の科学」と、蒸気の力について深掘りします。

    1. 火を入れる前から始まっている:せいろの中で起こる「発酵の奇跡」

    点心の世界では、包み上がった肉まんを蒸し器に入れる前、生地を休ませて最後の膨らみを待つ「ホイロ(二次発酵)」という工程があります。

    せいろの中でホイロ(二次発酵)を迎える肉まん
    ▲ せいろの中で二次発酵を待つ肉まん。木肌の呼吸が生地の立ち上がりを支える

    ステンレスのバットやプラスチックの番重(ばんじゅう)に並べた場合と、この30年物の檜せいろに並べた場合では、火を入れる前の段階で生地の立ち上がりと肌艶がまるで違います。

    💡 酒蔵の「木桶」と同じ原理:せいろ自体に棲みつく「蔵付き酵母」

    檜(ひのき)の木肌には、目に見えない微細な導管(多孔質)が無数に走っています。

    約30年間、毎日天然酵母・老麺(ラオメン)の生地をのせ、蒸気を浴びせてきたこのせいろの木肌の奥深くには、熱や乾燥を生き抜いた独自の有用酵母や乳酸菌群(蔵付き菌)が自然に棲みついています。

    包みたての生地を置くと、木肌に眠る微生物叢と生地の酵母が優しく共鳴し、発酵の立ち上がりを力強く後押ししてくれるのです。
    直売所でふっくらと蒸し上がる鍾馗のにくまん
    ▲ 生きた酵母と檜の蒸気でふっくらと蒸し上がる「鍾馗のにくまん」

    金属やプラスチックの容器では絶対に起きない、「生きている木」だからこそ起こる発酵の奇跡がここにあります。

    2. 表面を乾かさない「奇跡の調湿カプセル」

    発酵中に生地の表面が乾燥してしまうと、表面に硬い膜(乾皮)ができ、蒸し上げた時に生地が風船のように膨らむのを邪魔してしまいます。

    かといって密閉しすぎると、自身の水蒸気で結露して生地がベチャついてしまいます。

    • 檜が湿気を吸い、必要なときに放湿する
      30年使い込まれた檜は、余分な湿気を瞬時に吸い取り、乾燥しそうになると自然に水分を放出します。せいろの中は、常に生地にとって最も心地よい湿度(約75〜80%)に保たれます。
    • グルテン膜がストレスなく限界まで伸びる
      肌がしっとりと柔らかい状態のまま発酵が進むため、小麦のグルテン膜が限界まで柔軟に伸び、蒸気を浴びた瞬間に爆発的なふっくら感を生み出します。

    3. なぜ「檜(ひのき)」でなければならなかったのか?

    中華せいろの素材には主に「竹」「杉」「檜」の3つがあります。

    1997年返還前の香港で、店主があえて高価な特注の「檜」を選んだ理由は、その圧倒的な耐久性と木質にありました。

    素材 寿命の目安 耐水・耐熱性 点心への影響と耐久性
    檜(ひのき) 10年以上〜数十年 極めて高い 木質が極めて緻密で反りや歪みが出ない。天然の油分(ヒノキチオール)が腐食を防ぎ、30年の使用に耐え抜く。
    杉(すぎ) 2〜3年程度 中程度 軽くて扱いやすいが、木質が柔らかく毎日の強火蒸気で歪みやひび割れが起きやすい。
    竹(たけ) 1〜2年程度 低〜中 通気性は良いが繊維が脆く、湿気によるカビや乾燥による裂けが起きやすい消耗品。

    30年間、毎日強火の蒸気にさらされながらも狂いなく、蓋と身がピタリと噛み合う堅牢さ。

    この隙間のない密閉性と調湿性があるからこそ、蒸気の熱が一滴の水滴も落とさず、肉まんの頭から底の薄皮まで均一に対流するのです。

    4. 15分待つ価値:歴史あるせいろが閉じ込める熱々の肉汁

    当店の「鍾馗のにくまん」や「名物焼売」は、作り置きをせず、ご注文ごとにこの30年物の檜せいろで強火で蒸し上げます。

    蒸したての頭にジュッと押される福の焼き印
    ▲ 蒸したての頭にジュッと刻まれる「福」の焼き印。出来立て熱々の証

    蒸し上がりの【15〜20分】の間、せいろの中では微生物の力でしなやかに育った天然酵母生地がパンパンに膨らみ、極粗挽き国産豚肉から沸き立つ熱々のスープを一滴も逃さず閉じ込めます。

    🥟 焼売も同じせいろで「一緒に蒸したて」!

    直売所では、肉まんを蒸し上げる同じ檜せいろで、普段は冷凍販売のみの肉汁焼売を一緒に蒸したてでご用意する裏技オーダーも承っております。
    檜せいろで一緒に蒸し上げられる京都点心福の名物焼売
    ▲ 肉まんと一緒に蒸したてで味わう名物焼売。溢れる肉汁が凝縮

    香港仕込みの歴史ある蒸籠がもたらす、極上の出来立て体験をぜひ味わってください。

    道具は使えば使うほど摩耗するものですが、良質な檜せいろは使い込むほどに呼吸を覚え、点心を美味しくする「生きた器」へと育ちます。

    西京極の朝、30年の歴史が宿る湯気の向こう側で、本物の蒸したてをご用意してお待ちしております。

    京都点心福 しゅうまい奉行(職人一同)

    \ 待たずに熱々を受け取りたい方へ /
    事前のお電話予約が便利です

    「○時○分に取りに行きます」「肉まんと焼売を蒸しておいて」とお電話一本いただければ、ご来店時間に合わせて蒸したてをご用意いたします。